家だと​集中できない​ときに​試したい​場所と​「気配」の​つくり方

カフェや図書館に行くと、不思議と勉強がはかどる。でも家に帰ると、ベッドやテレビやスマホが気になって、なかなか集中できない。

これは、あなたの集中力がないからではありません。家には、くつろぐための合図がたくさんあるからです。この記事では、家でも集中しやすくなる「場所」と「気配」のつくり方を紹介します。

家で​集中しに​くい理由

習慣の研究では、わたしたちの行動は、気持ちよりも場所や時間などのまわりの手がかりに引っぱられやすいことが分かっています[1]。

家は、もともと休む場所です。ソファに座れば、テレビをつけたくなる。ベッドが目に入れば、横になりたくなる。家の中は、「休む」「くつろぐ」の合図であふれています。

反対に、図書館は「勉強する場所」で、まわりもみんな勉強しています。だから、座っただけで勉強の気分になれるのです。

1. 「作業するだけの​場所」を​決める

家でも、作業をする場所を1つだけ決めて、そこでは作業だけをするようにします。

  • 机の上は、作業に使うものだけにする
  • その場所では、動画を見たりスマホで遊んだりしない
  • 机がなければ、ダイニングテーブルの「この席」と決めるだけでもいい

同じ場所で同じことをくり返すと、その場所そのものが「始める合図」になっていきます。座ったら、自然と作業の気分になる。そうなるまで、少しずつ続けてみてください。

2. 作業を​始める​「スイッチ」を​決める

場所に加えて、作業を始める前にいつもすることを決めておくのもおすすめです。

  • 飲み物を用意して、机に置く
  • いつもの作業用の音楽をかける
  • タイマーをスタートする

毎回同じ手順で始めると、それが「ここから作業」というスイッチになります。

3. スマホは​別の​部屋に​置く

家で集中をじゃまする、いちばんの相手はスマホです。通知が来るたびに手が止まり、気づけば作業から離れてしまいます。

作業のあいだは、スマホを別の部屋に置くか、せめて手の届かないところで、画面を下にして置きます。「見ないようにがまんする」より、「見るのがめんどうな場所に置く」ほうが楽です。

4. 誰かと​一緒に​作業する​「気配」を​使う

カフェや図書館ではかどるもうひとつの理由が、まわりにがんばっている人がいることです。

心理学では、ほかの人がいると、作業がはかどることがあると知られていて、「社会的促進」と呼ばれています。241の研究をまとめた分析では、ほかの人がいると、かんたんな作業や慣れた作業は速くなることが分かりました。いっぽうで、むずかしい作業や慣れない作業は、かえってうまくいかなくなることもあったそうです[2]。

つまり、「見られる」と緊張するけれど、「同じように作業している人がそばにいる」くらいの気配は、ちょうどよい後押しになりやすい、ということです。

家でこの気配をつくるには、こんな方法があります。

  • 家族やルームメイトと、同じ時間に作業する(話さなくていい)
  • 友だちとビデオ通話をつないで、だまって作業する
  • 「Study with me」の動画や配信を流す:誰かが勉強している様子を流しながら、一緒に作業する
  • オンラインの自習室や作業スペースを使う

むずかしい内容に取り組むときは、話しかけられない、見られすぎない形を選ぶのがコツです。

5. それでも​だめな​日は​場所を​変える

どうしても集中できない日は、思いきって場所を変えるのも手です。

  • 近くのカフェや図書館に行く
  • 家の中でも、いつもと違う部屋で作業する

「今日は家ではだめな日」と割りきって、場所を変えたほうが、ずっと座ってなやんでいるより早く始められます。

今日からできること

  • 家の中に「作業するだけの場所」を1つ決める
  • 作業を始める前のいつもの手順を決める(飲み物・音楽・タイマー)
  • 作業のあいだは、スマホを別の部屋に置く
  • 家族や友だち、オンラインの作業スペースで、誰かと同じ時間に作業してみる
  • だめな日は、場所を変える

参考に​した​研究

  1. 習慣が、気持ちよりも場所や時間などのまわりの手がかりで動くことをまとめた研究
    Wood, W., & Neal, D. T. (2007). A new look at habits and the habit–goal interface. Psychological Review, 114(4), 843–863. doi:10.1037/0033-295X.114.4.843
  2. ほかの人がいると作業がどう変わるかを、241の研究からまとめた分析
    Bond, C. F., & Titus, L. J. (1983). Social facilitation: A meta-analysis of 241 studies. Psychological Bulletin, 94(2), 265–292. doi:10.1037/0033-2909.94.2.265