三日坊主にならないための、5つの小さなコツ
「今度こそ毎日やる」と決めたのに、気づけば3日目で止まっている。勉強も、朝活も、筋トレも、そんな経験がある人は多いと思います。
先に言っておきたいのは、三日坊主は、意志が弱いせいではないということです。
ロンドン大学の研究チームが、96人に新しい習慣を12週間続けてもらった研究があります。それによると、新しい行動が「意識しなくてもできる」ようになるまでに、まん中の人で66日かかりました。しかも、人によって18日から254日と、大きな差がありました[1]。
つまり、はじめの数週間は「まだ習慣になっていなくて当たり前」の時期です。気合いで乗り切ろうとするより、続けやすい形を先に作っておくほうが、ずっと楽に続きます。
じつは、KOTSULY を作っているわたし自身も、読書や運動は何度も三日坊主になってきました。続くようになったのは、「1日1行だけ書く」のように小さく決めて、やった時間を記録するようにしてからです。いまは週2回のジムと毎日のジャーナリングが、特に意識しなくても続いています。
この記事では、そのための小さなコツを5つ紹介します。
1. 「やらない日がない」くらい小さく始める
続かない理由でいちばん多いのは、最初の目標が大きすぎることです。
「毎日1時間勉強する」は、元気な日ならできます。でも、疲れた日、忙しい日、気分が乗らない日にはできません。そして1日できないと、「もういいや」となってしまう。
そこで、はじめはどんなに疲れた日でもできる大きさにします。
- 「毎日1時間勉強する」→「毎日、参考書を1ページ開く」
- 「毎朝5km走る」→「毎朝、ランニングシューズをはく」
- 「毎日日記を書く」→「毎日、1行だけ書く」
「そんなに小さくて意味があるの?」と思うかもしれません。でも、習慣づくりの最初の目的は、量をこなすことではなく、毎日の流れの中に置くことです。1ページ開けば、そのまま5ページ読める日もあります。読めなかった日も、「今日もやった」が1日増えます。
慣れてきたら、少しずつ増やせば大丈夫です。
2. 「いつ・どこで」を先に決めておく
「毎日やる」と決めただけだと、毎日「いつやろう?」と考えることになります。考えるたびに、あとまわしにする理由も見つかります。
そこで、「いつ・どこで・何をするか」を、先に1つの文にしておきます。
- 「平日の夜9時になったら、リビングの机で、参考書を開く」
- 「朝、コーヒーをいれているあいだに、英単語アプリを開く」
これは心理学で「実行意図(if-then プランニング)」と呼ばれる方法です。「○○のときは、△△をする」と決めておくだけで、目標を達成しやすくなることが、94の実験をまとめた分析で確かめられています[2]。
ポイントは、時刻や場所を、あいまいにしないことです。「夜に」ではなく「夜9時に」、「家で」ではなく「リビングの机で」。決めるのは1回だけで、あとは毎日それに従うだけになります。
3. 「いつもしていること」のあとにつなげる
2つめのコツをもっと楽にする方法があります。すでに毎日している行動のあとに、新しい行動をつなげることです。
- 歯をみがいたら、ストレッチを1つする
- 朝ごはんを食べ終わったら、今日やることを1つ書く
- 電車に座ったら、単語帳を開く
歯みがきや朝ごはんは、もう毎日できています。そのあとに続けることで、新しい行動の「始める合図」になってくれます。スタンフォード大学で行動デザインを研究している BJ・フォッグさんは[3]、この合図になる行動を「アンカー(いかり)」と呼んでいます。
つなげる行動は、毎日かならずしていて、時間がだいたい決まっているものを選ぶのがコツです。
4. やったことを記録して、目に見えるようにする
続けるためには、「続いている」ことが目に見えることも大切です。
目標に向けて、どれだけ進んだかを確かめること(進み具合の記録)について、138の研究(あわせて約2万人)をまとめた分析があります。それによると、進み具合を確かめる人ほど、目標を達成しやすくなっていました。さらに、頭の中で確かめるだけでなく、紙やアプリに記録したとき、そしてほかの人に見せたときに、その効果が大きくなっていました[4]。
記録のしかたは、かんたんなもので十分です。
- カレンダーに、やった日だけ印をつける
- 手帳に、やったことを1行だけ書く
- アプリで記録する
印が並んでいくと、「せっかくここまで続いたし」という気持ちが、次の1日を後押ししてくれます。
5. 1日休んでも、やめない
最後が、いちばん大事なコツです。
三日坊主の多くは、1日休んだことをきっかけに、全部やめてしまうことで起きます。「昨日できなかったから、もうだめだ」と、0か100かで考えてしまうのです。
でも、さきほどの66日の研究では、1回やらなかった日があっても、習慣ができていく流れには大きな影響がありませんでした[1]。ただし、休む日がとても多かった人は、習慣になりにくかったそうです。
つまり、気をつけたいのは「1日休むこと」ではなく、「休みがくり返されること」です。そこで、こんな決まりを1つだけ持っておくと安心です。
「休むのは1日まで。2日続けては休まない」
できなかった日は、「明日はいつもより小さくてもいいからやる」と決めておく。1ページだけ、1行だけ、でかまいません。
もし何日も止まってしまっても、だいじょうぶです。ペンシルベニア大学の研究チームによると、月曜日や月のはじめ、誕生日のような区切りの日は、新しいことを始めやすいそうです[5]。次の区切りの日を、もう一度始める日にしましょう。
もうひとつ:ひとりでがんばりすぎない
5つのコツに加えて、もうひとつ。同じようにがんばっている人がいると、続けやすくなります。
アメリカで166人が参加した、体重を減らすプログラムの研究があります。友だちと一緒に参加して、おたがいに支え合う工夫をしたグループは、95%の人が最後までプログラムを続けました。ひとりで参加したグループでは76%でした。終わったあとに減った体重を保てた人も、66%と24%で、大きな差がついています[6]。
家族や友だちに「これを続けたい」と話しておく。同じ目標の人とつながる。それだけでも、ひとりで抱えるより、ずっと続けやすくなります。
今日からできること
- 続けたいことを1つ選んで、どんなに疲れた日でもできる大きさにする
- 「いつ・どこで・何をするか」を1つの文にする
- 毎日かならずしている行動のあとにつなげる
- やった日に印をつける場所を決める
- 「2日続けては休まない」と決めておく
全部をいっぺんにやらなくても大丈夫です。まずは1つめだけでも、今日から試してみてください。
参考にした研究
- 新しい習慣が身につくまでの日数を調べた研究
Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009. doi:10.1002/ejsp.674 - 「いつ・どこで・何をするか」を決めておく効果をまとめた分析
Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119. doi:10.1016/S0065-2601(06)38002-1 - 小さな習慣から始める方法をまとめた本(日本語版:『習慣超大全』)
Fogg, B. J. (2019). Tiny Habits: The Small Changes That Change Everything. Houghton Mifflin Harcourt. - 進み具合を記録すると目標を達成しやすくなるかを調べた分析
Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., Prestwich, A., Conner, M., Kellar, I., Benn, Y., & Sheeran, P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198–229. doi:10.1037/bul0000025 - 区切りの日に新しいことを始めやすくなる「フレッシュスタート効果」の研究
Dai, H., Milkman, K. L., & Riis, J. (2014). The fresh start effect: Temporal landmarks motivate aspirational behavior. Management Science, 60(10), 2563–2582. doi:10.1287/mnsc.2014.1901 - 友だちと一緒に取り組むと続けやすくなるかを調べた研究
Wing, R. R., & Jeffery, R. W. (1999). Benefits of recruiting participants with friends and increasing social support for weight loss and maintenance. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 67(1), 132–138. doi:10.1037/0022-006X.67.1.132