資格の勉強を毎日続けるための計画の立て方
簿記、英語、IT の資格。申し込んだときはやる気があったのに、気づけば参考書が机のすみにある。そんな経験はありませんか。
資格の勉強が続かない理由は、やる気よりも計画の立て方にあることが多いです。「1日3時間」「週末にまとめて」のような計画は、うまくいく日もありますが、くずれたときに立て直しにくい。しかも、覚え方によっては、時間をかけたわりに覚えていないこともあります。
この記事では、記憶の研究で確かめられている方法を使って、続けやすくて、忘れにくい計画の立て方を紹介します。
1. 試験日から逆算して、「1日の最低ライン」を決める
まずは、試験日までの日数を数えます。そこから、参考書や問題集の量を日数で割って、「1日にどれだけ進めればいいか」を出します。
ここで大事なのは、出てきた量を**「最低ライン」**として、少し少なめに決めることです。
- 参考書が300ページ、試験まで60日 → 1日5ページで終わる
- でも、計画は「1日4ページ」にして、余った日を予備にする
ぎりぎりの計画は、1日休んだだけでくずれます。くずれると、取り返すために次の日の量が増えて、さらに苦しくなる。少なめに決めておけば、疲れた日も「4ページだけ」なら手がつけられます。
続けるための小さなコツは、三日坊主にならないための5つの小さなコツにもまとめています。
2. まとめて勉強するより、分けて復習する
週末に5時間まとめて勉強するのと、平日に1時間ずつ5日勉強するのとでは、同じ5時間でも、覚えている量がちがいます。
勉強の時間を分けて、間をあけてくり返すと、まとめて勉強するより長く覚えていられる。これは「分散学習」と呼ばれ、とてもたくさんの研究で確かめられています。317の実験をまとめた分析では、次に思い出すまでの期間が長いほど、勉強と勉強のあいだもあけたほうがよいことが分かりました[1]。
計画に入れるなら、こんな形がおすすめです。
- 新しく進めた範囲を、翌日に少し見直す
- 1週間後に、もう一度見直す
- 試験の1か月前からは、全体をくり返し回す
「今日の分」だけでなく、「前に進めた分の見直し」も、1日の予定に少しだけ入れておきます。
3. 読み直すより、思い出す練習をする
テキストを何度も読み直すと、「分かった気」になります。でも、読み直しは、思ったほど記憶に残りません。
アメリカの大学の研究で、学生に文章を覚えてもらう実験があります。何度も読み直したグループと、1回読んだあとに「何が書いてあったか」を書き出す練習をしたグループを比べると、1週間後に覚えていたのは、書き出す練習をしたグループのほうでした。読み直したグループは、「よく覚えている」という自信は高かったのに、です[2]。
勉強の方法を比べた大きなまとめでも、「思い出す練習(自分でテストする)」と「分けて復習する」は、役に立つ度合いがいちばん高いと評価されています。反対に、「読み直す」「線を引く」は低めでした[3]。
思い出す練習は、むずかしいことをしなくて大丈夫です。
- 1ページ読んだら、本を閉じて、大事なことを3つ言ってみる
- 問題集を、早めに解きはじめる(まちがえていい)
- 単語帳は、答えを見る前に一度考える
「読む時間」を少し減らして、「思い出す時間」にまわすだけで、同じ時間でも身につき方が変わります。
4. 「いつ・どこで」勉強するかを固定する
計画を立てても、毎日「いつやろう」と考えていると、あとまわしになります。
「平日の朝6時半から、リビングの机で」「お昼休みの最後の15分、会社の席で」のように、時間と場所を決めておくと、考えなくても始められるようになります。決めた時間になったら、まず参考書を開く。それだけを毎日くり返します。
場所を決めておくのは、集中のためにもおすすめです。いつもの机に座ると、自然と勉強の気分になる。これは、場所や時間そのものが、行動を始める合図になっていくからです。
5. 進み具合を、目に見えるようにする
最後に、どこまで進んだかを記録します。
- 参考書の目次に、終わった章の印をつける
- カレンダーに、勉強した日の印をつける
- 勉強した時間を、アプリで記録する
試験までの道のりは長いので、「どれだけ進んだか」が見えないと、不安になりがちです。印がたまっていくと、「ここまで来た」と分かって、次の1日を始めやすくなります。
今日からできること
- 試験日までの日数を数えて、1日の最低ラインを少なめに決める
- 1日の予定に、前に進めた分の見直しを少しだけ入れる
- 1ページ読んだら、本を閉じて大事なことを3つ言ってみる
- 勉強する時間と場所を1つに決める
- 終わった章や、勉強した日に印をつける
参考にした研究
- 勉強の時間を分けたときの効果を、たくさんの実験からまとめた分析
Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380. doi:10.1037/0033-2909.132.3.354 - 読み直すより、思い出す練習のほうが長く覚えていられることを示した実験
Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255. doi:10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x - 10の勉強の方法を、役に立つ度合いで比べたまとめ
Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. doi:10.1177/1529100612453266