朝活が続かない人へ — 早起きより先に決めておきたい6つのこと
「明日から朝5時に起きて、勉強しよう」。そう決めた次の日、目覚ましを止めて、気づいたらいつもの時間。そんな経験はありませんか。
朝は、まだ連絡も来ないし、頭もすっきりしている。だから朝の時間を使いたい、と思う人は多いです。でも、朝活は「始めるのはかんたん、続けるのはむずかしい」習慣のひとつです。
続かないのは、意志が弱いからではありません。多くの場合、起きる時間だけを決めて、そのほかを決めていないことが原因です。この記事では、早起きより先に決めておきたい6つのことをまとめます。
1. 起きる時間より先に寝る時間を決める
朝活でいちばん多い失敗は、寝る時間はそのままで、起きる時間だけ早くすることです。これでは、睡眠がけずられるだけです。最初の数日はがんばれても、眠い日が続くと、どこかで止まってしまいます。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、大人は少なくとも6時間以上の睡眠を目安にすることがすすめられています。必要な睡眠時間には個人差がありますが、朝活のために、この目安を下回るのはおすすめできません[1]。
ですから、たとえば「30分早く起きたい」なら、まず「30分早く布団に入る」ことから始めます。朝活は、じつは夜から始まっているのです。
寝る前にスマホを見てしまって、なかなか寝られない人は、寝る前のスマホをやめたいときの5つの小さな工夫も読んでみてください。
2. 一気に早くしないで、15分ずつずらす
いつも7時に起きている人が、いきなり5時に起きようとすると、体も気持ちもついてきません。
おすすめは、15分ずつ早くしていくことです。1週間は6時45分、次の1週間は6時30分。少しずつずらすと、体が慣れやすく、「起きられなかった」という失敗も少なくなります。
休みの日だけ大きく寝坊すると、月曜日の朝がつらくなります。休みの日も、ふだんとあまり変わらない時間に起きるようにすると、平日の朝がずっと楽になります。
3. 朝にやることは前の夜に1つだけ決めておく
起きてから「さて、何をしよう」と考えはじめると、そのあいだにスマホを手に取ってしまいがちです。朝は、まだ頭がゆっくり動いている時間です。考えることは、できるだけ少なくしておきましょう。
そこで、前の夜に、朝やることを1つだけ決めておきます。
- 「問題集の32ページから」
- 「英語のアプリで1レッスン」
- 「本を10ページ」
さらに、使う物を机の上に出しておくと、起きてからの迷いがなくなります。問題集を開いて、ペンを置いておく。それだけで、朝の一歩がずいぶん軽くなります。
「いつ・どこで・何をするか」を先に決めておく工夫は、三日坊主にならないための5つの小さなコツでもくわしく書いています。
4. 「起きてすぐにすること」につなげる
朝は、毎日ほとんど同じ流れで動いている時間です。起きる、顔を洗う、水を飲む、着がえる。このいつもの流れのあとに、新しいことをつなげると、思い出しやすくなります。
- 顔を洗ったら、机に座って問題集を開く
- コーヒーをいれたら、本を10ページ読む
- カーテンを開けたら、その場で5分ストレッチをする
ちなみに、朝のほうが習慣になりやすいのでは、という研究もあります。フランスの研究チームが、48人の学生に、かんたんなストレッチを毎日続けてもらいました。半分の人は朝起きてすぐ、もう半分の人は夜寝る前に行います。90日間、毎日「どれくらい考えずにできるようになったか」を答えてもらい、そのデータから計算したところ、習慣になるまでの日数は、朝のグループで約106日、夜のグループで約154日と見積もられました[2]。
ただし、これは少ない人数の、1つの研究です。日数も、実際に数えたものではなく、計算で見積もった数字です。研究チーム自身も、「かんたんな動きだったので、運動のようにもっと大変なことに当てはまるかは分からない」と書いています。「朝にやると習慣になりやすい、かもしれない」くらいに受け取っておくのがよさそうです。
5. 朝の楽しみとセットにする
「朝は勉強しなきゃ」と思うだけだと、布団から出る理由が弱くなります。そこで、朝にしか味わえない楽しみを作っておくのもおすすめです。
アメリカのペンシルベニア大学で、226人を対象にした実験があります。続きが気になる小説の音声(オーディオブック)を、ジムにいるときだけ聞けるようにしたグループは、はじめのうち、ジムに行く回数が多くなりました[3]。「やるべきこと」と「やりたいこと」をセットにする方法で、研究チームは「誘惑の抱き合わせ(テンプテーション・バンドリング)」と呼んでいます。
ただし、この効果は時間がたつと小さくなっていきました。のちに、もっと多くの人で行われた研究でも、効果はあったものの、はじめの研究ほど大きくはありませんでした[4]。楽しみだけで続けるのではなく、きっかけの1つと考えるとよさそうです。
朝なら、たとえばこんな組み合わせができます。
- 好きなパンやお菓子は、朝の勉強のときだけ食べる
- とっておきのコーヒーは、朝だけの楽しみにする
- 好きな音楽やラジオは、朝の作業中だけ聞く
6. 起きられなかった日のルールを先に決めておく
どんなに工夫しても、起きられない日はあります。前の日が遅くなった日、体調がよくない日、なんとなく疲れている日。
困るのは、1回寝坊しただけで「もうだめだ」と、ぜんぶやめてしまうことです。そうならないように、起きられなかった日のルールを先に決めておきます。
- 寝坊した日は、5分だけでもやる(問題集を1問だけ、など)
- 朝ができなかった日は、夜に5分やる
- 2日続けて起きられなかったら、起きる時間を15分おそくしてやり直す
朝活の目的は、早く起きることそのものではなく、やりたいことに使える時間を作ることです。朝にこだわりすぎず、「今日もやった」を積み重ねることを大事にしましょう。
おまけ:できた朝を目に見えるようにする
朝活は、続けていても、成果がすぐには見えにくい習慣です。問題集が1冊終わるのは、何か月も先かもしれません。そのあいだに「これ、意味あるのかな」と思いはじめると、布団から出る力が弱くなります。
そこでおすすめなのが、できた朝に、しるしをつけていくことです。カレンダーに丸をつける、手帳に「6:30 問題集2ページ」と一行書く。それだけで十分です。
しるしが並んでくると、「ここまで続いたから、明日もやろう」と思えるようになります。起きられなかった日があっても、前後に丸が並んでいれば、「1日休んだだけ」と分かります。
1か月たったら、しるしを見返して、何時に起きた日がいちばん調子がよかったかをふりかえってみましょう。自分に合った起きる時間や、朝にやることの量が、少しずつ見えてきます。
今日からできること
- 明日の朝にやることを、1つだけ決めて書いておく
- 使う物を、机の上に出してから寝る
- 今夜は、いつもより15分早く布団に入る
- 「顔を洗ったら」など、朝のいつもの流れのどこにつなげるかを決める
- 起きられなかった日は5分だけ、というルールを決めておく
参考にした研究
- 大人の睡眠時間の目安などをまとめた、国の指針
厚生労働省. (2024). 健康づくりのための睡眠ガイド 2023. - 同じストレッチを朝と夜にした人で、習慣になるまでの日数をくらべた研究
Fournier, M., d'Arripe-Longueville, F., Rovere, C., Easthope, C. S., Schwabe, L., El Methni, J., & Radel, R. (2017). Effects of circadian cortisol on the development of a health habit. Health Psychology, 36(11), 1059–1064. doi:10.1037/hea0000510 - 楽しみな物語を、ジムでだけ聞けるようにした実験
Milkman, K. L., Minson, J. A., & Volpp, K. G. M. (2014). Holding the Hunger Games hostage at the gym: An evaluation of temptation bundling. Management Science, 60(2), 283–299. doi:10.1287/mnsc.2013.1784 - 「やりたいこと」と「やるべきこと」をセットにする方法を、多くの人で確かめた研究
Kirgios, E. L., Mandel, G. H., Park, Y., Milkman, K. L., Gromet, D. M., Kay, J. S., & Duckworth, A. L. (2020). Teaching temptation bundling to boost exercise: A field experiment. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 161, 20–35. doi:10.1016/j.obhdp.2020.09.003