1日3行の​ふりかえりを​続ける​ための​5つの​小さな​コツ

新しいノートを買って、日記を始めてみた。最初の数日はていねいに書けたのに、1日あいて、2日あいて、気づけばノートのことを忘れている。

ふりかえりが続かないのは、めんどうくさがりだからではありません。多くの場合、1回に書こうとする量が多すぎるのです。その日のことをきちんと書こうとすると、疲れた夜には手が止まります。

でも、1日の終わりに少しだけ立ち止まることには、ちゃんと意味があります。その日に進んだことを自分の目で確かめられるし、つまずいたことを明日に持ちこまずに済みます。大事なのは、たくさん書くことより、毎日少しだけ続けることです。

この記事では、毎日のふりかえりを3行で終わらせて、長く続けるためのコツを紹介します。

1. 書くのは​3行だけと​決める

まず、書く量を決めてしまいます。おすすめは、次の3行です。

  • できたこと:今日、少しでも進んだこと
  • つまずいたこと:うまくいかなかったこと、気になったこと
  • 明日の一歩:明日やる、いちばん小さなこと

1行は、ひとことで大丈夫です。「英単語を20個やった」「夜にスマホを見すぎた」「明日は朝に10分だけ問題集を開く」。これで十分です。

たとえば、資格の勉強を続けている人なら、こんな3行になります。

  • できたこと:昼休みに、問題集を2ページ進めた
  • つまずいたこと:夜はテレビを見て、そのまま寝てしまった
  • 明日の一歩:昼休みに、きのうの2ページを見直す

日記というより、メモに近いくらいでちょうどいいのです。きれいな文にしようとしなくてかまいません。

「3行まで」と決めておくと、書く前に身がまえなくてすみます。書きたい日は長くなってもかまいません。でも、決まりは3行。それより少ない日も「ちゃんと書けた日」として数えます。

2. 「できた​こと」から​書く

3行のうち、いちばん先に書くのは「できたこと」です。

アメリカの研究者のアマビールさんとクレイマーさんは、7つの会社で働く238人に、仕事のある日に毎日、短い日記を書いてもらいました。集まった約1万2千日分の日記を調べると、気持ちややる気がいちばん上向いた日は、大切な仕事が少しでも前に進んだ日でした。大きな成果でなくても、小さな前進が、次の日のやる気につながっていたのです[1]。ただし、これは日記からみえた「つながり」で、前進がやる気を生んだと言い切れるものではありません。

ふりかえりでは、どうしても「できなかったこと」に目が向きます。だからこそ、先に「できたこと」を書いて、小さな前進に気づく練習をします。「5分だけ机に向かえた」でも立派な前進です。

「1日の良かったことを3つ書く」というやり方も、気持ちを明るくする方法としてよく知られています。アメリカで411人に参加してもらった研究では、1週間続けた人たちに、そのあとも良い変化が見られました[2]。ただ、その後に同じ形で確かめた研究では、はっきりした差が出なかったものもあり、効き目の大きさはまだ意見が分かれています[3]。「書けば必ず元気になる」と期待しすぎず、前に進んだことを見つける習慣として使うのがよさそうです。

2行目の「つまずいたこと」は、自分を責める言葉にしないのがコツです。「また勉強できなかった。だめだ」ではなく、「テレビをつけたら、そのまま止まった」のように、何が起きたかを書きます。何が起きたかが分かれば、「明日はテレビの前に問題集を開く」のように、3行目の工夫につなげられます。

3. いつもの​動作の​あとに​書く

「時間があるときに書こう」と思っていると、時間はなかなかできません。

そこで、毎日かならずする動作のすぐあとに、書く時間をつなげます。

  • 夜、歯みがきが終わったら書く
  • お風呂から出て、髪をかわかしたら書く
  • 仕事のパソコンを閉じる前に書く

ノートやアプリは、その場所に置いておきます。歯みがきのあとに書くなら、洗面所の近くか、ベッドの横。探すところから始めると、それだけで面倒になります。

寝る前の時間の使い方は、寝る前のスマホをやめたいときの5つの小さな工夫でも紹介しています。スマホを置いて3行書くことを、寝る前の合図にするのもおすすめです。

4. 書けない​日は​1行で​いい

どんなに工夫しても、書けない日はあります。疲れて、すぐに眠ってしまう日もあるでしょう。

そんな日のために、「1行だけの日」をはじめから許しておきます。「今日は疲れた」の1行でもかまいません。書くことそのものより、ノートを開くことを毎日続けるほうが大切です。

そして、書けなかった日があっても、さかのぼって埋めなくて大丈夫です。あいた日を埋めようとすると、「たまった分を書かなきゃ」という気持ちが重くなり、やめるきっかけになりがちです。あいた日はそのままにして、今日の3行から再開します。

「毎日書けた」ことより、「やめずに戻ってこられた」ことのほうが、長く続けるうえでは大切です。1か月のうち20日書けたなら、それは十分に続いていると考えてください。

1日休んだあとの立て直し方は、三日坊主にならないための5つの小さなコツにもまとめています。

5. 週に​1回だけ​読み返す

毎日書いた3行は、ためておくだけではもったいないです。週に1回、7日分を読み返す時間をつくります。

読み返すと、1日では気づかなかったことが見えてきます。

  • 「できたこと」が多かった日は、何がちがったか
  • 同じ「つまずき」が何度も出てきていないか
  • 「明日の一歩」は、実際にできていたか

たとえば、「できたこと」が多い日は、朝に少し時間をとれていた。つまずきには、いつも「夜にスマホを開いた」が出てくる。こうしたくり返しは、1日分だけを見ていても気づけません。7日分を並べると、自分の続けやすい形と、つまずきやすい場面が見えてきます。

ここで見つけたことを、次の1週間の小さな工夫にします。毎日の3行は「材料」、週の読み返しは「料理」のようなものです。

週のふりかえりのやり方は、週に1回、15分のふりかえり — 続けたことを次につなげる書き方でくわしく書いています。

今日からできること

  • 書くのは3行だけ(できたこと・つまずいたこと・明日の一歩)と決める
  • いちばん先に「できたこと」を書く
  • 歯みがきのあとなど、いつもの動作のすぐあとに書く
  • 書けない日は1行だけにして、あいた日は埋めない
  • 週に1回、7日分を読み返す

参考に​した​研究

  1. 238人の毎日の日記から、小さな前進がやる気を支えていることを見つけた研究
    Amabile, T. M., & Kramer, S. J. (2011). The power of small wins. Harvard Business Review, 89(5), 70–80.
  2. 「1日の良かったことを3つ書く」などの方法を、411人で比べた研究
    Seligman, M. E. P., Steen, T. A., Park, N., & Peterson, C. (2005). Positive psychology progress: Empirical validation of interventions. American Psychologist, 60(5), 410–421. doi:10.1037/0003-066X.60.5.410
  3. 上の研究を同じ形でもう一度確かめ、効き目はもっと小さいかもしれないとした研究
    Mongrain, M., & Anselmo-Matthews, T. (2012). Do positive psychology exercises work? A replication of Seligman et al. (2005). Journal of Clinical Psychology, 68(4), 382–389. doi:10.1002/jclp.21839